更新:42 days ago

7/28 別れ

先週から来客が多い。ほぼ毎日である。来週にかけてこれは続きそうである。バイヤーさん、行政さん、視察団、マスコミさんなどなど。目的も様々。農業という仕事は実に広い範囲でこの社会に関わっている。というのは当たり前で、社会どころか人間の生存に関わる環境や食といったものに大きく関与しているのだから。

そして私としては何か少しでもいい方向に貢献したいという理想がある。バイヤーさんとのやりとり一つとっても、経営のために農産物を売り込もう、というだけでなくて、そこには私の想いも伝えようということがある。ちまたに溢れる、環境や食への誤解。これはもう凄まじいものがある(私もまだまだ誤解しているのかもしれないが)。生産現場という先端にいる者にこそ分かりえることというのは多い。それは心ある医学者などとの連携で大きな力となり得る。しかし農学と医学は同じものであった、などと説明を始めると小難しい。それを身近な角度から伝えられるのが農業者である。うちの牛蒡やお米はその媒体ということになる。

昨日、大きなお別れがあった。急なことであった。その方と初めて会ったときの印象は大きな会社に所属する切れ者さん、というイメージであったが、打ち解けるのは早かった。すぐに感心したのは、ビジネス以上のところ、つまり私の想いなどを大変良く理解していただけるということ。私のお付き合いは今でこそそういう人たちが多くなっているが、この方はその中でも早期に出会えて、かつ筋金入りだったと思う。

うっかり空っぽの財布で松江に出かけ、車の燃料も入れられない状況で頼ったのが彼だった。その時が初対面だったにもかかわらず私は1000円を借りた。昨年の12月には、「崖の下のポニョ」で有名な広島県の鞆の浦を案内していただいた。その前日に自らがツアーで回った箇所を、なんと今度は私1人のためにガイドをしながら回ってくれたのである。私にとっては専属のガイド付き個人ツアーである。そのときのことをこの場で紹介しようしようと思いつつ、いつものようにだらしない私はズルズルとせず終いだった。

このたび退職されることになった。事情は人それぞれ。直接のお付き合いはなくなるが、私の想いを理解していただいている限り、またご縁も期待できるだろう。

思い返せばいつものことだが、なんと私の不精なこと。本当はもっと多くの人と深く楽しく付き合いたい。しかし今一つ余裕がなくている。最近では具体的な用事のない「ただの会話」が苦手になった。商売をしていればそんなものだと慰められたこともあるが、そんな「ただの会話」こそホンモノの地域づくりの鍵、というより「人の道」があると思う私にとっては、なんとも情けないことである。

この地には何度も足を運んでいただいた。昨日もわざわざ来ていただいて、事務所で話し、不思議な食堂で昼飯を食い、改めて畑を案内し、最後に国道を去っていく車を両手を振って見送った。この3年間いろいろ学ばせてもらった。同い年である。前途洋々。お互い頑張りたいものだ。
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