妻の勧めで一緒にヨガ教室の受講生になった。少し抵抗はあったが、人一倍体が
硬い僕としては、クネクネと自在に体を操っている自分の姿をを想像して、すぐに乗り気になった。
妻と一緒に、教室のあるT公民館に車で乗りつけた。そこは、統合したため廃校
した小学校が公民館として利用されているため、外からでも部屋の様子が伺える
のである。ドアを開けようとして一瞬立ち止まってしまった。中には、女性しか見えないのだ。
「うっそ!男は、僕だけかよ」
ちょっとためらったが、精一杯の笑顔をつくって中に入った。
かつての教室に畳が一面に敷き詰めてあり、人が寝れるだけのスペースがある真新しいマットが
各人の前に敷かれている。
「これが噂のヨガマットか」(誰も噂は、していないと思うが)
テレビで観たのと同じだったのでちょっと嬉しくなった。それだけで体が柔らかくなったような
気分になった。
先生の指導は、死者のポーズ(インド名はちょっとど忘れました)から始まりだん
だん難易度が高くなっていく。ただでさえ体の柔らかい女性の中で、僕の錆付い
た硬い体は、一際浮いてみえた。たぶん、笑いを噛み殺した方が何人も居られた
ことだろう。
レベルの差はあれ、自分の限界を一段超える動きができるのが快感だった。
腹式呼吸で息を吐きながら体を静かに前屈したりするのだが、息を吐くことでググッ
と体がもう一段沈むのだ。
「なかなか、いいじゃないか」
静かに呼吸を整えヨガのポーズを繰り返すことで、長年の不摂生で狂った体を少しでも
矯正できれば言うことはない。
そして、いつの日かクネクネと自在に体を操っている自分の姿があったら、それはもう奇跡だ。